気が散るからやめろ

 釈放と言えば聞こえはいいけれど、ヴァーデンフェルへの流刑は今やほとんど死罪と同然だ。重篤な病気が蔓延し、異形のモンスターがじわじわと迫り来ているとなれば、正気を失う人々が日を追う毎に増えていくのも当たり前のことだろう。 … [Read more…]

笑い事じゃないって

「ああ、マイスウィート・キャラメル! 酷いじゃないか、こんなに長い間顔を見せてもくれないだなんて!」「すみません。ちょっと交渉が長引きまして」「知っていたかい? クラッシウスおじさんは寂しいと死んでしまうんだよ?」「お元 … [Read more…]

痛い

 赤き山のほど近く、偽神の信奉者がゴーストフェンスと呼ばわる魔術の壁を超えた先で。私はその手に月星の指輪を携えたよそ者の女、と二人、灰の嵐を凌ぐために手近な廃坑道の一つへと身を寄せていた。 「痛むか」「……いいえ」「嘘を … [Read more…]

放っておけない

「わぁ……! ここが有名な競ニックスハウンド場なんですね!」  その日、俺はミストレス・のたっての希望でエボンハートの南にある競ニックスハウンド場にいた。フラールの仕切りとは言っても公営ギャンブルの一環として、一応公平性 … [Read more…]

ずっと一緒にいてくれる?

「バラダスさん、聞いてください! 今日は──」  一日の終わり、じきに日付けも変わろうかという時間帯。この娘は今日も懲りずに私にその日の出来事を語って聞かせる。他愛もない話を、何とも嬉しそうな顔をしながら。 「それとあの … [Read more…]

口が達者ですね

 この歳になって恋文を受け取った。差出人は私と同じくテルヴァンニの魔術師として名を連ねる異種族の小娘で、何を血迷ったのか私を愛しているとしたためている。年長者への敬愛と解釈することは許さぬとでも言わんばかりに、一人の男と … [Read more…]

地獄で後悔しな

 オドラル・ヘルヴィの汚職の決定的な証拠を押さえるため、キュリオ卿は私をカルデラの彼の元に送り込んだ。表向きはその指図に従い従順な手足として振る舞わせつつ、フラール家に損害を与えるあらゆる行為を秘密裏に妨害させようと。  … [Read more…]

ここお化け出るらしいよ

『町外れのヴェロシの塔には近づくな』『そこには風変わりなテルヴァンニの魔術師が住んでいて、訪問者を歓迎しない』  グニシスに着くなり、町の住民が口々に忠告してきたのはまさに私の目的地に関してだった。私は最近テルヴァンニの … [Read more…]

納得いかない

 この混沌とした世の中に、再びネレヴァリンを名乗る者が現れた。しかし折々の時代にその称号を冠された傑物は皆等しく現れては消え、御伽噺めいたアズラの預言が最後まで成就したことは一度もない。 それは今回もまた同じだろう。例え … [Read more…]

お前さえいなければ…

「バラダスさん、前から気になっていたんですが……」「何だ」「どうして評議員を引き受けてくださったんですか?」  その日もいつものようにグニシスの外れの塔を訪れていた私は、いくつかの金属片を前に図面を引いている人の横顔に向 … [Read more…]