いい加減に諦めろ
「……今お前は何と言った」「ドワーフに関する研究を辞めていただけませんかと言いました」 しばらく本土に向かうため留守にすると言っていたその娘が戻ってくるなり、ひどく真剣な顔でこう言った時にはさすがに正気を疑った。数秒の … [Read more…]

「……今お前は何と言った」「ドワーフに関する研究を辞めていただけませんかと言いました」 しばらく本土に向かうため留守にすると言っていたその娘が戻ってくるなり、ひどく真剣な顔でこう言った時にはさすがに正気を疑った。数秒の … [Read more…]
私が帝国軍に加わってからいくつか位を上げ、リフトの野営地へと配属された時。ここの責任者だという特使の元へ挨拶に行った私は、もはや珍しいと言っていいアルトマーの兵士を見て我知らず驚いた顔をしてしまっていたのだろう。 「ス … [Read more…]
聖オルムス地区の最上階に、幽霊屋敷と呼ばれている荒れ果てた邸宅がある。中へ足を踏み入れればそこは文字通り埃や蜘蛛の巣でいっぱいではあるのだけれど、地下へと続く閉ざされた扉の鍵を開くだけの能力がある者には、全く違う姿を見 … [Read more…]
仲間意識なんて元々希薄なテルヴァンニだけれど、同業者だからこその苦労を分かち合えることもある。各マスター・ウィザードの代理人はその最たるもので、議会の間は意見を曲げずに戦わなくてはならないものの、それ以外の時間は割とフ … [Read more…]
「お前を好いておらんとは言わん」 私が一世一代の覚悟を決めて想いを打ち明けた相手は、だいぶ長い沈黙の後にようやく口を開くとそう言った。 「そ、それはつまりバラダスさんも私を──」「だが」 けれどその人は逸る私を咎める … [Read more…]
「よう師匠、しばらく本土に行ってたって? どうだ、楽しいことでもあったか?」「最悪でしたよ……」 サドリス・モラ、ファラの店。そこで一緒に飯をしたいと連絡をくれたミストレス・と向かい合って席に着くなり、開口一番俺が放っ … [Read more…]
生きていくにはお金がかかる。それは飲食に費やす分は元より、街から街へ移動するための交通費という時もあれば、もっと強力な魔法を習得するための学習費用の時もある。あるいはローブや指輪、アミュレットを揃えるための被服代もある … [Read more…]
激しい苦痛は既に消え去り、暑くも寒くもない無限の暗闇の中に私は揺蕩う。身体は羽根のように軽いが、動かそうとしたところで指一本上がる気配すら感じられない。そもそもそこに身体というものが本当に存在するのかと言うことさえ、今 … [Read more…]
「バ、バラダスさん……!」 ネレヴァリンに至る第四と第五の試練とやらに挑んでいたはその日、我が塔に現れるや否や涙目で私に駆け寄りそのまま抱きついてきた。日頃はかくも取り乱した姿を見せるは良しとしないこの娘が、こんな状態 … [Read more…]
レッドマウンテンに赴く前、最後の夜を私はその人の元で過ごした。小さなテーブルにまんじりともせず向かい合って座ったまま、私たちは訥々と取り留めのない会話を交わし、夜が明けようかと言う頃、私はその古いヴェロシの塔を後にした … [Read more…]