A Simple Question

「死ね! デムネヴァンニ!」  耳障りな叫びと共に短剣を振りかぶった有象無象の暗殺者。そんな輩へ私がこの手で呪文を構えるよりも早く、隣に立っていた娘はその身を投げ出しつつ魔術の壁で相手を跳ね返した。続けて私が床にめり込ま … [Read more…]

Into the Light

 繰り返し何度も見る夢、それはいつもこのヴィヴェクの聖堂の中だ。私の前には険しい顔をしたサリョニ大司教が立っていて、夢の中の私は指一本動かすこともできずに続く言葉を聞く。あの時、私が全てを失った瞬間に耳にしたのと同じ言葉 … [Read more…]

守りたいもの

 黒の書に秘められた禁断の知識、それがどれほど魅力的なのかを私に問うのは愚かなことだ。過去に突然姿を消したと噂される賢者たちの一体何人があのおぞましい世界を今この時もなお徘徊しているのだろう。異形の神が統べる場所で、己の … [Read more…]

死が二人を分かつとも

「起きたか」  目を開いた私の前に立っている人は、特段驚いた様子も見せずにそう言った。たった今自分がかけた術が失敗しているかもしれないなんてことは、万に一つもないと疑いもせず信じきっているかのように。 「ええ、おかげさま … [Read more…]

I want you

 バラダスさんに想いを打ち明け、またそれを受け入れてもらってから、もう数週間の時が経った。会いに行けばバラダスさんはいつでも私を歓待してくれるし、優しく頭を撫でて抱きしめてくれる。  でも私が求めない限りバラダスさんから … [Read more…]

First Kiss

 私が弟子になってからというもの、アリョンさんは忙しくしている合間を縫ってよく面倒を見てくれていたと思う。ダンマーでもなく素性もはっきりしないアウトランダーの私を、数合わせとは言え引き込みたいほど追い詰められていたという … [Read more…]

Love me tender

 エラベニムスンの族長、ハン・アンムさんは私の恋人だ。他のアッシュランダーの族長は年長で強面な人も多いのだけれど、ハン・アンムさんはまだ若く、そしてとても温和で優しい。あまり戦士としての気質には恵まれていなかったからか、 … [Read more…]

Destiny

「族長。スル・マトゥール。話がある」「話?」「あの娘はまだ眠っている。お前のヤートで話すがよかろう」  自身のヤートから出てくるなり、賢女ニバニは私にそう言った。常日頃から変わらぬ無表情のまま、ニバニは私の前をつかつかと … [Read more…]

Deal of Life

「お前もつくづく阿呆な女よな」  私の前で胡座をかいて座っている人はどこかおもしろそうにそう言った。 「確かにお前はテルヴァンニの貴族だ。それもマスター・ウィザードの一人とくる」  残り少ないゴブレットの中身を飲み干し、 … [Read more…]

素直になれなくて

 世の中には言ってはいけないことがある。それは万人に対してのものもあるけれど、ある特定の人物だけには絶対に聞かれてはいけない類のものもある。私はたった今、まさしくこの瞬間、後者を口にしてしまった。売り言葉に買い言葉という … [Read more…]